シュタイナー教育から見る自然感覚論 「connecting with Nature program2017を受講して」


シュタイナー教育から見る自然感覚論
「connecting with Nature program2017を受講して」

 

 

1前書き
元々、両親の影響で知っていたオーストリア発祥の教育学「シュタイナー教育

実は今回滞在した場所は私自身、小学4年生から中学2年生にかけて続けて訪れていた場所。その当時は親に連れられて来ていた為「遊びに来ている」「旅行」という感覚しかなかったし、ただただ広大な自然に囲まれて純粋に楽しんでいた記憶しかない。中学3年生の受験を期に私も忙しくなり、そしてなかなか纏まった休みが取れなくなったこの約4年で、この場所の事もシュタイナー教育の事も殆ど忘れかけすっかり遠ざかってしまっていた。


大学生になり部活も無い、特に私の場合はサークル活動も無いそんなこの休みにただただアルバイトをして過ごすのではなく、自分の知識と教養に繋がる”何か”をしたい そんな中 ふと思い出したのがこの場所であった。きっとあの頃の自分とは感じるものも思い考える事も違うだろうし、何より私がどれだけ内面的な面で、あの頃から「成長」出来ているか。それについて確かめるには絶好の場所だと思った。これは、学校の課題でも無ければ、誰かに強制されている訳でもない。ただただ自己の興味と関心のみに突き動かされ、再度 辿り着いた場所。それともう一つの理由は、夏休みという纏まった時間のある時に( 休み明けに実技試験が控えているので厳密に言えば何も無いという事ではないのだけれど、それ以外の「何か」がしたかった)”何もしない”というのが私のatitude的に許せず、かといって外国のプログラムに参加するとなると、それなりに費用も日数も必要で何しろ準備期間を持たなければならない。そういった事から今回は、私の知りたい事、学びたい事が唯一日本で一貫して学ぶ事の出来る場所、NPO法人「ひびきの村」へ5日間のシュタイナー教育プログラムに参加する事になる

 


2概要
NPO法人「ひびきの村」とは、オーストリア生まれの教育者・哲学者であるルドルフ・シュタイナーが提唱する 1、教育活動2、福祉活動3、環境活動 これらの3つの柱を基礎とした「シュタイナー教育」を、日本で初めて実践的に行い、そして今もなお、教員養成や学びの場を提供する等をしている、NPO法人人智学共同体である


毎年この場所では、そのシュタイナー教育の思想を基にして「料理」「言語造形」「オイリュトミー」「自然」等の様々なジャンルに分かれて学ぶ事が出来る ”サマープログラム” を7月後半から8月後半迄を全部で4つのコース(週)に分け又実施しており、その中で私が今回参加したものが8月の第2週に行われた「Connecting with Nature 2017」である


山でのドライブや森林浴、自然の中に入る事は癒しに繋がり、そしてリフレッシュされる。そこに何かもう一つ、例えば隠し味にハーブ、美術館でのガイドツアー等「何か」「誰か」による説明でその世界が広がるように、このプログラムでは、America San Diego出身の元救急救命士である先生の元、タイトル通り自然と”connect”するをテーマに、北海道の大自然の中での火起こしやシェルター作り、川や山遊びを通して自然に対するマイナスな意識「恐れ」を「敬い」に変え、自分の内に秘めている自然への感覚をもっと大事にするべきだという考えにより。そして、自分自身が日々感謝している小さくて、大きな事、それらを見つけ「自分への信頼」を取り戻す事がこのプログラムの「本当」の目的であり、最終目標であった

 

 


3内容(スケジュール等)


2017/08/09 水
1日目 少々のアクシデントはあったもののプログラムの集合時間が午後4時と遅かった為、比較的余裕のあるフライト、列車の乗り継ぎだった。夏の北海道はこれで6度目だ。北海道に降り立った瞬間、やはり東京とは違う少しひんやりとした空気を感じ同じ日本でも足を運ぶ度に感じる。新千歳空港に着いたのは昼過ぎであった為、その場で作ってくれる海鮮丼屋さんでいくらとサーモン丼、スターバックスでコーヒーをテイクアウトし、列車内で食事をした。目的地までは列車で1時間半程。食事を終え、ふと窓の外を見ると辺り一面海が広がっていた。オホーツク海かな、とこれまた私らしいトンチンカンな想像をしたがそんな事はあり得るわけがなくその海は広い広い太平洋だった。「ひびきの村」に到着すると、スタッフと受講者の顔合わせがありそれが終わると皆で夕食を食べた。東京と10度以上違う温度差や疲れで体調を崩してしまい、この日は早く部屋に戻り就寝

 

2017/08/10 木
2日目 プログラム初日

朝から雨が降っていた。しかし先生にはそんな事は関係がなく、むしろ「感謝」をするべきだと言った。日本人には雨が嫌いな人が多いという。確かに電車は遅れ行動範囲は狭まり、洗濯物も乾かない。本音を言うと私も雨はあまり好きではなく、雨に対して良い印象は持っていなかった。しかし、今回のこのプログラムを受講する事でそう言った自然に対するマイナスな印象を払拭してほしいと、それも先生の願いの一つであった
第一回目となる今日は、村を1周すると同時に「Sit spot time」と題し森の中に入り、一番自分の居心地の良い場所を見つけ一人静かな時を過ごすという時間が設けられた。小雨が降る中ふかふかの草むらに寝転がり、雨の降る音、風が通り過ぎる音、虫の鳴く音等 自然の音のみが耳の中に深く静かに入ってくる。非常に心地よい感覚であった。先生は「大切なのは何も考えない事」と言っていたが、あの静けさの中にいて何も考えないというのはなかなか難しいものがあった

 

2017/08/11 金
3日目 第二回の今日は「水」の日

近くの川へ行き、1日シェルター作りと川遊びをした。シェルターとは所謂自然の中での「寝床」 木や草や土等を集め人一人入る事の出来る程の大きさの寝床を作るところから始まった。果たしてこんなものたちで本当に暖かい寝床を作る事が出来るのか。頭の中ははてなマークでいっぱいであったが、手の動くままに木々たちを集めひらすら黙々と組み立てて行った。出来たシェルターは想像していたものより遥かに小さく、しかし入ってみると想像以上に暖かいものであった。改めて「自然」の力を感じた瞬間でもあった。お昼を食べた後の自由時間は、晴れていた事もあり足だけ水の中に入れ久しぶりの川遊びを楽しんだ

 


2017/08/12 土
4日目 第三回は「火」の日

あいにく1日雨が降っていたので、この日は小屋の中で火おこしをした。木と木の摩擦で火をおこす、今までで初めての経験であったしこの先も出来るかも分からないかのような貴重な経験であった。寒さで手がかじかんでいたが、両手で木の棒を持ち必死に木の板にこすり続けているうちにあっという間に木の香りが小屋いっぱいに広がり、全身がとても良い匂いに包まれ気持ちが良かった感覚は忘れないだろう。

 


2017/08/13 日
5日目 プログラム最終日。朝 いつもより早い時間に集合をし「昭和新山」へ。この山は私有地な為、普段は所有者の許可がないと登る事が出来ず、それも一般ではなかなか許可が降りないそう。そんな中での登山であった為、非常に貴重で有難い経験であった。それからこの山は活火山であり、今でもいつまた噴火が起こるのか分からない山なのだが今の時期はとても安定しているという事で登らさせて頂いた。登り始めは青々とした緑の森林が広がっていたのだが、次第に緑は無くなっていき頂上に近づくにつれて、木々の生える前の山である薄茶色の土が目立ち始め遠くに湯気も見えるようになった。幼い頃から登山好きの両親に連れられ様々な山へ登ってきたが、湯気が出ている山、即ち活火山に登るのは私自身これが初めてだった。すぐ目の前で大地から湯気が出ている光景は「自然」そのもので、そこへリュックを枕にして寝てみると山の斜面がとても暖かく心地が良かった。
人が立ち入る事が殆どない為にあまり整備されていない登山道であったり、温かい湯気が噴き出す岩の間を歩くのは、かなり怖いものがあったがそれも楽しんでいる自分がいた事には驚いたが貴重な体験をさせて貰ったのだととても有り難い時間であった。

 


4メモ
懐かしい景色と匂いと空気、帰ってきた/好きなものを置き、好きな匂いにしたらもうマイルームになるの、最高/二十歳最大の失態が、二十歳最大の奇跡へと変わった旅の初日です/懐かしい人たちに沢山会えてます/1年ぶりのご飯美味しすぎて泣いてる/出逢うべくして出逢った人が沢山いる/順応性/適応能力/体調崩して寝ていて起きたら用意してくれたお茶とご飯/ここはあったかい/毎日の思った事、考えた事のメモは忘れない事/違う世界を生きているなとつくづく思う/ピアノ弾いたら頭痛いの治ったの凄い/時たまに怖くて仕方なくなる時があるのだけれど、その怖さと共に進むのが私/自分らしい人生を生きるためには、周りから期待された人生の優先順位にNOといえる強さを持つこと/人生の優先順位は自分で決めると決意すること/雨で手を洗うって素敵な表現/共感されたりしたりというのは互いに嬉しいし良い事なのかもしれないけれど、そういう人とだけ付き合うのは違うと思う/シェアリングの時間/自然に対する感覚/目を閉じると村の匂いや暮らしていた部屋や自然の匂いが分かる/今後の夢や目標を互いに話し合ったり聴いたり そういう時間が私には必要であり大切なんだ/自分よりも歳上の人と話すと必ずといって良いほど何かが自分の中に芽生え生まれる気がしてる/はるくんの絵が本当にあったかくて幸せな気持ちになる/本気で苦しんでいるように見えなくても、その心はちゃんと苦しんでいて、出口を探している/私は一体誰になろうとしているんだろう/何かものを書く仕事がしてみたいとふと思う/最大の復讐は幸せになる事/ちゃんと勉強をしないと自分のことが嫌いになる/自分は絶対に自分以外にはなれない/束縛されたくない/まだまだ自由に生きたい/日々「わたし」は更新される/何処にいるのかなんて大して重要ではないのかもしれない/何を思い何を感じそれらをどう繋ぎ紡ぎ言葉にするのか、公開するのか、誰にも言わずに自分の中に秘めておくのか/

 

 

 

 
5まとめ
北海道の大自然の中で、大学での課題やアルバイトやそういった事から少しの間距離を置きのびのびと過ごした5日間。東京生まれ東京育ち そして今も東京で毎日生活をしている私にとっては、こんなに自然に囲まれる事も、自然の中に入り込む事も、ここに来なければ出来ないような非常に貴重な経験であった。

しかし、正直なところ私は5日間の講義を受け 何を得られたのかはっきりと言葉に出来ないし、よく分からずにただただ先生に言われるがまま導かれるままに事を成し進んでいた。時にそういった気持ちが、先生に対して申し訳無いと感じてしまう事もあったけれど、これも私がこの講義を受けた事で「感じた」というものの一つに変わりはない。けれど、このプログラムを受けなければ知り得なかった事や、また先生にしか教えて頂けない情報も沢山あっただろうし、本当に先生との出会いには感謝をしている。


実は昨年もこの「ひびきの村」のサマープログラムに参加しており、その時もそうだったのだけれど”私は知っている” ”私には出来る”と思っていたものが、私はまだまだ子供で未熟であり、周りの大人に比べたら何も知らないし出来ないんだという現実に又もや直面してしまったし 今回ここで(このプログラムで)学んだ事が、大学でのまたはそれ以外の学びにどう繋がるかどうかは正直なところ分からないし、もはや全く関係が無いかもしれない。けれど、全てではなくとも、きっと何かしら何処かへ通ずるものはあると信じている。其れ等をどう繋げるか、ここからの行動は、私にしか出来ないし分からないから、焦らずにゆっくりと考えていこうと思う。今直ぐに出さなければいけない答えでは無いと思っている

 

”我々一人一人の内部には高貴であり、価値であり、発展するにふさわしい何かが必ず存在している”

 

私たちの先生である R.シュタイナーもこう言っている。完全な個体というのは、一人一人の個体独自の完全さの上に成り立っているものでなければならないし、私が創り出したいものは、別の誰かにも出来るようなものではなく存在の独自性に従い、私自身だけが可能な何かであるという事。何かを”信じよう”と思うのではなく”知りたい”という思いを根底に、あらゆるものに対して向かっていく

 

それから、この歳でこの感覚とこの感性とを持って来た「私」が、5日間で感じた匂いや見た景色、色々な人と出会い、話して得た考えや思いはこれから先も私の側にずっと置いておけるし、もし途中で忘れてしまう事があっても、ちゃんと時間をかけ思い出す事の出来る、温かくて幸せな記憶になった。自然を通して、多くの大切な事を教えてくれた Teacher Dagras にはこの場を借りてお礼を言いたい。


“Thank-you for telling me a variety of important things for 5 days and leading us to “real nature”.